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今日生まれたといふ人

「今日生まれたといふ人」

2017年12月24日

あまり知られていませんが、高村光太郎は「クリスマスの夜」という詩を創っています。『わたしはマントにくるまって/冬の夜の郊外の空気に身うちを洗ひ/今日生まれたといふ人の事を心に描いて/思はず胸を張ってみぶるひした』1921年12月、親友の水野葉舟の家で行われたクリスマスの帰路に詠んだ詩と言われています。その詩は主イエスのことを次のように描いています。『此世で一番大切なものを一番むきに求めた人/人間の弱さを知りぬいてゐた人/人間の強くなり得る道を知ってゐた人/彼は自分のからだでその道を示した』高村光太郎は、その主イエスのことを思い、また主イエスの示された道のことを思って、冬の夜の寒さの中で、思わず身ぶるいしたと詠っています。そして「その泥にまみれた道」に「わたしも行かう」と言っています。水野葉舟の紹介で植村正久牧師を訪ねた高村は「君は自然を美しいというが、誰がその美しい自然を創ったのか」と問われて答えられませんでした。彼はキリスト者にはなれませんでしたが、それ以来、美の背後にあるものを考え続け、真実の美を表現することに生涯をささげました。クリスマスは私たちの心を真実なものへと向かわせる時です。