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虫食い南蛮皿

「虫食い南蛮皿」

2019年9月1日

豊臣秀吉の部下の一人に加藤嘉明という武将がいました。絶体絶命の戦で無類の強さを発揮した人物です。彼の強さの原因は命知らずの家来をたくさん持っていたことにあります。ところで彼には一つ宝物がありました。十枚一組の小皿セットで「虫食い南蛮」と名付けられた器です。それは価が付けられないほど高価な物だと言われていました。ところが来客にこの皿を出そうとしていた時、家来の一人がうっかり一枚を割ってしまったのです。皆が息をのむ中、それを知った加藤嘉明は残り九枚を持って来させ、皆の見ている前で全部割ってしまいました。九枚残っている限り、いつ誰が一枚割ったかが、いつまでも語り継がれることになる。彼はそれを避けたかったのです。部下の過ちを跡形もなく消し去るために、彼は家宝を自ら破壊してその咎を覆ってやったのです。ところで神はそれ以上のことを私たちのためにしてくださいました。私たちの罪を覆うために皿ではなく、最愛の独り子を打ち壊してくださったのです。なぜそのようなことをなさったのでしょう。これ以外に罪人が赦される道はなかったからです。このような主人であるなら、心から仕えることができるのではないでしょうか。