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小さな声を感じ取る心

「小さな声を感じ取る心」

2020年12月20日

前カンタベリー大主教のローワン・ウィリアムズ師がこう語っています。「聖歌隊指揮者にとって最も大切な任務は、大声を出して歌う人や音を外している人に注意を与えることではない。その任務とは、声の出ていない人、聞き取れないほどの小さな声の人の存在を敏感に感じ取ることだ。そして『あなたの声が聴こえなければ、この聖歌隊は無い方が良いのです』と語りかけることなのだ。」私が洗礼を授けられた目黒の碑文谷教会の聖歌隊に一人の脳性麻痺の女性がいました。この人は上手く歌えません。音が取れないのです。そもそも言葉をきれいに発音することすらできません。ですから聖歌隊のハーモニーはめちゃくちゃになります。しかしこの方は、本当に嬉しそうに心から賛美します。その楽しそうに歌っている姿に皆が感動し、美しいハーモニー以上の尊いものをそこに見るのです。主イエスが、弱く小さな幼な子として飼い葉桶に生まれて下さったのは、聞き取れないような小さな声を聴くためです。めちゃくちゃなハーモニーに込められた心からの賛美を喜んで聴いて下さるためです。そのことを忘れて、表面的な美しさだけを求めていくならクリスマスは意味を失ってしまいます。