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ふしぎ

「ふしぎ」

2013年10月27日

以前、金子みすずさんの「ふしぎ」という詩に、大門先生がご自分の思いを付け加えて詠まれたことがありました。 「ふしぎ」 わたしはふしぎでたまらない、黒い雲からふる雨が、銀にひかっていることが/わたしはふしぎでたまらない、青いくわの葉たべている、かいこが白くなることが/わたしはふしぎでたまらない、たれもいじらぬ夕顔が、ひとりでぱらりと開くのが/わたしはふしぎでたまらない、たれにきいてもわらってて、あたりまえだ、ということが。(ここから後は大門先生が付け加えたものです) わたしはふしぎでたまらない、いい加減なわたしが、神の子とされていることが /わたしはふしぎでたまらない、無償の愛に赦されたわたしに、感謝の祈りがないことを /わたしはふしぎでたまらない、主イエスの十字架に贖われたことを、当たり前のように受けるのが。 いにしえの詩人は、詩編8:5でこう詠っています。「あなたが御心に留めてくださるとは、人間はなにものなのでしょう。人の子は何ものなのでしょう、あなたが顧みてくださるとは。」主の恵みは、私たちの理解を超えて、「ふしぎ」に思うほどに大きいのです。

「アンパンマンの愛」

2013年10月20日

漫画アンパンマンの作者のやなせたかしさんが召されました。なぜアンパンマンはわざわざ自分の顔を空腹の子供たちにあげるのでしょうか。パンを持って来て子供たちに配れば、自分も弱くならないし、空腹の子供たちも助けられるのにと思います。しかし、クリスチャンであるやなせさんはこう言っています。「空腹の者に顔の一部を与えることで悪者と戦う力が落ちると分かっていても、目の前の人を見捨てることはしない。このように、本当の正義というものは、決して恰好のいいものではないし、そして、そのために自分も深く傷つくものです」。実は、このアンパンマンにはモデルがいるのです。イエス・キリストというモデルです。イエス・キリストは、ご自分の命を十字架において献げることによって、私たちの罪を代わって負ってくださいました。愛とは、ただ弱っている人を助けるだけではありません。愛には、常に自己犠牲が伴います。有り余る中から分け与えるのではなく、乏しい中から分け与えること。これこそが愛です。アンパンマンは、私たちのためにご自分の命を分け与えてくださったイエス・キリストの愛を表しているのです。

「始めと終わり(2)」

2013年10月13日

先週このコラムで、「どのように始め、どのように終わるか」ということは、あらゆることにおいて大切であると書かせていただきました。そのことについてもう少し考えてみましょう。
拳から平手へ:生まれたばかりの赤ちゃんの手はみんなギュッと握りこぶしを作っています。しかし、亡くなられた方の手は開いた状態です。キリスト者の人生は、「自分、自分」と、自分のことをギュッと握り締めるところから始まりますが、だんだんと手を開いていき、神様に自分の人生を明け渡すようにされていく歩みであると言えるかもしれません。まことの平安に生きるとは、なかなか開くことができない手を、神様のご計画に明け渡して歩むことではないでしょうか。
飼い葉桶から十字架へ:主イエスのこの地上でのご生涯は、飼い葉桶に始まり十字架で終られました。最も貧しいお姿で始まり、人々の嘲りと罵りの中で閉じられました。私たちの罪のすべてを、その身に負われるために来られた救い主は、徹底して仕える僕としてのご生涯を全うされました。そのような主にとって、飼い葉桶よりほかに生まれる場所はなく、十字架のほかに死ぬべき場所はなかったのです。

「始めと終わり(1)」

2013年10月6日

後藤當子姉が召されました。後藤姉は、オルガンを心から愛しておられました。とりわけバッハがお好きでした。ところでバッハの楽譜は、すべて「JJ」という記号で始まり、「SDG」という記号で終っています。「JJ」というのはドイツ語の「主よ、助けたまえ」という言葉の頭文字です。そして「SDG」とは「ただ主に栄光あれ」という言葉の頭文字です。バッハは作曲する前に、いつも主の御助けを祈り求め、完成した時には主に栄光を帰していたのです。恐らく演奏する人も、主に助けを求める祈りから始めて、演奏後は主に栄光を帰して欲しいと願っていたのではないかと思います。聖書が求めている私たちの生きる姿勢も同じです。どのように始め、どのように終わるか。これは何事においても大切なことです。国語辞典にある言葉(名詞)を見ると、ほとんどの辞書は「愛」で始まり「腕力」で終っています。神様が愛をもって造られた美しい世界を、人間は腕力をもって醜いものに変えてしまったことを象徴しているように思えます。私たちは、これを逆回転させて、腕力に支配されているこの世を、再び愛が支配する世に作り変えていきたいものだと思わされます。