MENU

命のビザ

「命のビザ」

2015年9月27日

今月の4日、リトアニアのカウナスで、第2次大戦中ドイツの迫害から逃れてきたユダヤ人に「命のビザ」を発給し、約6000人の命を救った外交官、故杉原千畝氏(当時駐リトアニア副領事)を感謝するプレートの除幕式が行われました。1940年7月、ナチスに追われたユダヤ難民たちは、まだ業務を続けていた日本領事館に通過ビザを求めて殺到しました。難民たちを救済するために、クリスチャンの杉原はビザ発給に難色を示す外務省にわざと返信を遅らせて論争を避け、表面上は遵法を装いながらビザを発給しました。一時に多量のビザを手書きしたため、腕が痛くて動かなくなりましたが、夫人のマッサージを受けながら1ヶ月余、寝る間も惜しんでビザを書き続けました。ベルリンヘの移動命令が出て、ホテル「メトロポリス」に移っても書き続け、更に、ベルリンへの汽車に乗っても、車窓から手渡しされたビザを書き続けたのです。汽車が走り出し「許して下さい、私にはもう書けない。みなさんのご無事を祈っています」と杉原が頭を下げると、「スギハラ。私たちはあなたを忘れません」という叫び声があがりました。善きサマリア人として困っている人の真の隣人となった日本人がいたのです。

「旅人をもてなしなさい」

2015年9月20日

K牧師がバングラデシュのあるNPOに研修に行った時のことです。NPOのオフィスに寝泊りし、オフィスの管理人さんの奥さんが作ったボリューム満点のカレーを毎日食べさせて頂きました。「こんなに食べられません」と言うと、いつも「食べられるだけ召し上がって」と言われました。ある日の午後、K師はいつものように美味しいカレーをお腹いっぱい頂いて出掛けましたが、忘れ物に気が付いてオフィスに戻りました。すると管理人さんご夫妻と3人のスタッフが、K師が残したカレーを食べていました。彼らは、自分が食べることよりもゲストをもてなすことを優先していたのです。K師は最貧国への支援のあり方を学びに来ていたのに、現地の人々の貴重な食事を大食いしていたことに気付きショックを覚えました。そして、心からお詫びしました。すると彼らの一人が言いました。「私たちは『旅人をもてなすように努めなさい』(ローマ書12:13)と教えられています。あなたがたくさん食事をされて残りが少なかった時ほど、私たちが神様の教えに忠実であることを確かめることができて、とても嬉しかったのです」。貧しさの中にあっても、御言葉に生きる人の心の豊かさを教えてくれる話です。

「二度目の掃除」

2015年9月13日

ある土曜日の午後、一人の神学生が会堂清掃のために教会に来ました。その日の掃除当番は、牧師とその神学生と、もう一人、少し年を取った男の人の三人でした。しかし、もう一人の人がなかなか来ません。時間が過ぎても来ないので牧師と神学生だけで掃除をしました。掃除が終った後に「遅れてすみません」と言いながら、その人が来て掃除を始めました。それを見た牧師が、何も言わずにまた掃除を始めたのです。神学生は「もう掃除は終りました」と言いかけましたが、牧師が何も言わずに掃除をしているので、彼も黙って手伝いました。終った後、彼は牧師に「なぜ、掃除はもう済んだよ」と言わなかったのですか、と質問しました。すると牧師は一言、「せっかく来てくれたんだからねぇ」とだけ言いました。勿論、二度も掃除をするよりも「掃除はもう済んだよ」という方が簡単です。しかし、それでは、この人の心の中には「掃除当番に遅れて牧師に迷惑をかけてしまった」という思いは残ったままになってしまいます。この牧師は、その人がそのような思いに悩まなくて良いように、敢えて二度も掃除をしたのです。相手の心に寄り添うとは、このようなことを言うのではないでしょうか。

「時速2キロ以下の神」

2015年9月6日

北京の世界陸上競技大会が終わりました。注目の単距離走では、苦戦が予想されていたウサイン・ボルト選手が驚異的な強さを発揮して、今回も三つの金メダルを獲得しました。でも、もし、この世界最速の選手が、歩き出したばかりの赤ちゃんと2人3脚をしたらどうでしょうか。100メートルを歩くのに何分もかかってしまうでしょう。でも、その時もボルト選手は100メートルを9秒台で走る能力を失っている訳ではありません。紐をほどけば9秒台で走れますが、赤ちゃんの足並みに合わせていたのです。主イエスが人となられたとは、そういうことです。神としてのお力をお持ちであるのに、人間としての制約を負われて、この世に来てくださったのです。小山晃佑先生は、その著書「時速5キロの神」の中で、神様は、人間と共に歩んでくださる愛の神であるが故に、「時速5キロ」で歩まれると書いておられます。これに対して、金子啓一先生は、神様は体に弱さやハンディを持った人と共に歩まれるお方であるので、「神様の時速は2キロ以下ではないか」と述べておられます。全世界を創られ、すべてを支配されておられるお方が、時速2キロ以下で共に歩んでくださるとは何と感謝な事でしょうか。